こんにちは、ぴーです。
この度、申請していた助成金が採択となり、研究費を獲得することができました。
私の研究は実験やアンケート調査のような額はかからないのですが、書籍購入代や調査先への交通費を賄えるので、大変ありがたいことです。
私は、これまでいくつかの申請書を書いてきて初めて研究費を獲得できました。
失敗から学んだことを含めて申請書の書き方の基本と、採択されて改めて反省したことについてまとめておきたいと思います。
研究費とは?
まず、「研究費とはなんぞや?」ということです。
研究者が申請できる研究費には、「補助金」や「助成金」「寄付金」など、いくつかの種類があります。
京都大学学術研究展開センターによると、研究費は「研究の進め方」と「研究費の財源」の2つの視点から整理することができます。
看護の研究費でよくあるのは、省庁が財源となる科研費、そして財団法人・民間企業が財源となる助成金・寄付金だと思います。
基本的には、研究者自身で申請する研究費を選択し、申請書を提出することになります。
この記事では、私が採択となった財団法人が財源となる助成金についてお話します。
研究費申請のポイント
①申請する助成金は慎重に選択する
助成金には様々な種類があり、提供している組織が違えば対象となる研究・人、金額、期間なども異なります。
その組織によって助成金を提供する目的が異なるので、「自分の研究がその目的に適しているか?」を検討しないと時間と手間の無駄になってしまいます。
私の場合は、ある財団が運営する幅広い看護研究を支援している助成金を選びました。
選択にあたっては、まずは自分で調べ、指導教員との相談、研究室の先輩からの情報を参考にしました。
そして、助成金は申請時期と助成期間、金額を確認することも大事です。
研究計画がある程度出来上がっているか?倫理審査が通っているか?調査が開始できるのか?という研究の進捗によって、いつ申請できるのかは異なります。
私は、2024年1月ごろに研究計画書が出来上がり所属大学の審査を受けたため、2024年3月が申請締め切りのものを選択しました。
「自分の研究はどれくらい時間がかかるのか?どれくらいのお金が必要なのか?」ということを考えて申請することが大事です。
②何が求められているのかを考える
先ほども少し触れましたが、その助成金がどのような研究を求めているのか、ということをきちんと理解する必要があります。
募集要項を見たり、過去に採択された研究テーマを調べたり、母体になっている組織の理念を確認してみましょう。
私の場合は、「看護学の基礎となる研究」を支援している助成金に申請しました。
研究テーマ自体、この目的に関連があったのですが、実際に申請書を書く時にはこの目的に合うように工夫が必要です。
③実現可能性をアピールする
いくら研究テーマや計画が素晴らしくても、「本当にこの人はこの研究をやり遂げられるのか?」がわからないと多額のお金を支援したいとは思わないですよね。
研究の実現可能性は、研究内容と同じくらい重要な部分だと思います。
実現可能性を評価するポイントは、以下が挙げられます。
- 活動実績(職歴・学歴、学会発表、論文投稿、学会活動、教育活動など)
- 研究の進捗状況(どの段階が終わっていてこれから何をするのか)
- 研究計画の明確さ(どのような段階を踏むのか、何にどれくらいの時間がかかるのか)
活動実績について記載するときは、申請する研究テーマにどのように関連しているのかをアピールできると良いです。
例えば、「申請者は◯◯病院にて勤務した経験を有し、本申請課題に関する問いを発見するきっかけを得た」など。
また、研究計画については助成金の支援期間に応じ、いつ頃、何をするのかについて記載する必要があります。
ここが曖昧だと、本当にこの期間に達成できるのか、読む人は不安になります。
④読みやすさにこだわる
助成金の申請書を評価する人は、自分の専門分野の方とは限りません。
むしろ全然違う場合もあります。
様々な背景を持ってる人にとって読みやすい文章を書くことが非常に重要です。
初っ端専門用語で埋めつくされていたら、最初の一文から理解ができなかったら、評価する前に読む気がなくなります。
私が工夫していることは、以下のことです。
- 専門用語にはその言葉を出す前に簡単な説明をつける(例: ベット上での生活が長期に渡ると発生する廃用症候群は…)
- 一文目に研究テーマの中で用いている重要な、もしくはキャッチーなキーワードを入れる
- 長い文章は切れるのであれば切る
- 前の文章と次の文章、前の段落と次の段落のつながりを明確にする(接続詞を使う、前の文章に出てきた言葉で始めるなど)
- 可能であれば重要な部分を下線をつける、太字にする、フォントを変えるなどして目立たせる
- 相手の解釈にまかせない!(別の解釈の余地を残さない)
ちなみに、文章の書き方については以下の本がとても参考になりました。
学術的な文章を書く場合、必ずしも平易な言葉を使ったり一文を短くしたりすることが常に必要とは限りません。
しかし、誰が読むかわからない申請書の場合は、できる限り誰でもわかる文章を書くのが大事だと思っています。
また、書いた申請書は数人の人に見てもらうこともとても大事です。
指導教員は自分の研究をよく知っているので、できれば他の人が良いです。
同じ研究室の先輩や後輩、家族、友人誰でも良いので「わかりにくいとこあったら教えてほしい」と一回読んでもらってください。
自分では気づかない点を指摘してもらえることが多いです。
ちなみに、申請書を見てもらうことは少なからず負担がかかることです。
普段から周りの人の相談にのったり同じように添削をしたりするなどしておくと、気軽に見てもらいやすいと思います!
採択されてみて反省したこと
①他の助成金との組み合わせを考えておけばよかった!
私は今回ある財団の助成金が採択になったのですが、これからさらに特別研究員の申請を行います。
どちらも博士課程で行う研究について申請するので、テーマや内容がかぶってしまいます。
特別研究員の研究費については、「不合理な重複」、研究費の集中は禁止されています。
つまり、1人の研究者の同じ研究にばかりお金が集中するのはダメということです。
私の場合、不合理な重複に当たる可能性がありますが、今回採択となった助成金の範囲が直接経費のみであること、そして支援期間が1年間短いことから不合理では無いことを説明する必要があります。
もし、この不合理な重複についてもっとよく考えていれば、研究をある段階で分けたり、期間を調整して申請できたのかもしれません。
②申請する項目と金額をもっと考えればよかった!
助成金に採択されるまで、実際に研究をする時に何が本当に必要なのかを徹底的に考えられていませんでした。
パソコンやプリンター、調査施設までの交通費など一般的なものは計上したのですが、今考えると「あれも必要だった!これにはもう少しお金かかるかも!」ということが出てきました。
また、助成金額は上限がありますが、申請内容によって減額されることが多いと思います。
私も9万円ほどの減額になり、工夫して使わないといけません。
これについては申請前に指導教員に相談もしてたのですが、自分自身で助成期間の活動をイメージし、項目や金額を決める必要がありました…。
ただし、これも採択されてみないと気づけないことだったので次は気をつけられると思います。
まとめ:しっかり調べて申請し、初獲得を目指そう!
私は現在博士課程2年目ですが、助成金に採択されたことがすごく嬉しいです!
自分自身が考えたテーマ、計画で、自分で計上した経費にお金を出してもらえるって、すごいことだと思いませんか?
それが少額だとしても、少しずつ積み上げれば良いんだと思います。
なので大学院生の皆さんも、色々なチャンスを探して早めに助成金をゲットすることをおすすめしたいです。
自分の研究を客観的に考える機会になりますし、研究の進み具合も変わると思います。