国際学会での発表を乗り切るためのステップと心構え

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こんにちは、ぴーです。

英語が得意でない方々にとって、国際学会での発表は一大イベント。

初めての経験では、ハードルが高く感じられると思います。

私は博士課程の学生ですが、先日、初めて国際学会で研究発表をしてきました。

この記事では、国際学会での発表を乗り切るためのステップと心構えについて、私の体験をもとにご紹介したいと思います。

この記事では、以下のお悩みにお答えします。

  • 国際学会での発表をしてみたいけど、英語が苦手だから不安!
  • 国際学会での発表を予定しているけど、どう準備したらいいのかわからない!
  • 実際に発表した人の体験が知りたい
目次

国際学会での発表の重要性

国際学会での発表は、単なるプレゼンテーションを超えて、研究の成果を世界に発信する大きなチャンスです

国内学会よりも高い評価を受けることがあり、他国の研究者と知識を共有できる場でもあります。

私は、修士課程の時に国内の学会で何度か発表をしてきましたが、「いつかは国際学会で発表して、海外の研究者とつながりたい!」と思っていました。

私の周りの他の学生や研究者の中には、「英語がしゃべれないのに発表なんてできない」と、英語が話せないことを理由に国内での発表だけにとどめている方も多くいました。

しかし、せっかく長い時間をかけて行ってきた研究は、できるだけ海外でも発表をして、さらなる研究の発展につなげるのはとても重要です。

日本語を話しているのは、世界の中でわずか1億人ちょっと。英語はその10倍の約11億人です。

つたない英語であっても、研究内容が興味深いものであれば、海外の研究者の役に立てたり、将来的に共同研究につながることもあるかもしれません。

私も英語がすごく得意なわけではないし、ペラペラでもありません。

しかし、研究者であるからには、世界に向けて研究成果を発信する責任感を強く持っています。

発表を乗り切るためのステップ

国際学会の発表が重要であるとわかっていても、具体的にどのようなステップで進めれば良いでしょうか。

私が実際に行ったことを、時間経過とともにリストアップしてみました。

1国際学会を乗り切るステップ
  • 発表内容の確認と抄録の提出(4ヶ月前〜)
  • 発表資料・原稿の作成、ネイティブチェック(1ヶ月前〜)
  • 発表に際して便利な言葉・表現の確認(1週間前〜)
  • 英語を見る、話すことに慣れる(最低1週間前〜)
  • とにかく楽しむ!(当日)

発表内容の確認と抄録の提出(4ヶ月前〜)

発表内容を構築し、抄録を提出するのは国内学会での発表と同様です。

国際学会発表であることに際し、私が心がけたこと(ターゲットオーディエンスへの配慮)は、「わかりやすい内容、違う領域の人にも興味を持ってもらえるような内容にすること」です。

私は質的研究(インタビューや観察をして分析する)を専門としているので、データの中で日本語でも理解が難しいものがあります。

日本語で理解困難な文章は、英語に直すことは容易ではありません。

そのため、データの中でも比較的わかりやすいものを選び取り、内容を構築しました。

そして、私は看護学研究者ですが、発表を予定していた学会は看護学だけではなく、哲学や社会学などの分野も含まれていました。

そのため、医療や看護に詳しくない人でも、イメージがしやすいデータを選択しました。

抄録については、内容検討後に作成し、ネイティブチェックを受けて提出しました。

発表資料・原稿の作成、ネイティブチェック(1ヶ月前〜)

発表資料作成は、発表時間にもよりますが、結構時間がかかるので早めにとりかかるのがオススメです。

私は20分の発表でしたが、35枚程度のスライドを準備しました。

スライドや原稿の準備で注意したいのは、「日本語の文章をそのまま英語に翻訳してコピペしないこと」です。

日本語の文章を機械翻訳でそのまま英語にして貼り付けてしまう人がいますが、わかりにくく、回りくどくなってしまうのでオススメできません

私も機会翻訳は使用しますが、必ず日本語と英語の文章を比較して確認をします。

また、英語のプレゼンテーションの際には、「In these few slides, I’ll discuss 〜(数枚のスライドでは、〜についてお話しします)」や「To begin with,〜(まず初めに、〜) 」など、発表をスムーズに進めるための決まり文句があります。

英語での発表では、「これから何を説明するのか」「次に何について話すのか」をハッキリとさせながら話を進めるのを好む傾向にあります。

なので、一冊は英語プレゼンテーションに関する書籍を見て、決まり文句を発表原稿の中に入れることがとても大事です。

私は以下の『国際学会English 口頭発表 研究発表のためのプレゼンテーション』を参考にしました。

研究背景、目的、結果、考察の提示の仕方について、具体的でバラエティに富んだ例文が紹介されているのでオススメです。

作成した原稿についても、もちろんネイティブチェックを受けました。

発表に際して便利な言葉・表現の確認(1週間前〜)

国際学会当日が近づいてきたら、作成した発表原稿以外に、発表時に必要と思われる簡単なフレーズを覚えておくと便利です。

たとえば、「Thank you for coming here today. I would now like to begin my presentation.(今日は来ていただきありがとうございます。これから発表を始めたいと思います)」「Thank you for your attention. Do you have any questions or comments?(ご清聴ありがとうございました。何か質問やコメントはありますか?)」「If there are no other questions, I would like to conclude my presentation.(もし他に質問がなければ、これで発表を終わりにしたいと思います)」など。

私が他の日本人の方の発表を聴いて感じたのは、原稿を読み上げるだけで、聴衆とのコミュニケーションを図ろうとしない人がいたことです。

座長がいる場合には良いと思いますが、もしいない場合には自分で聴衆に問いかけたり、促したりする必要があります。

発表を終える時も、「If you have any additional questions, I will be happy to speak with you later.(もし追加の質問があれば、後で喜んでお話します)」と一言言えるのも、積極的な姿勢として大事だと思います。

英語を見る、話すことに慣れる(最低1週間前〜)

一通り、発表の準備が終わったら、英語を見たり話したりすることに慣れることが大事です。

普段日本語しか使っていない人にとって、英語はとっさに口から出てくるものではありません。

国際学会では全てが英語で行われることが多いので、急にそのような環境に入ることでものすごく疲れてしまいます。

なので、最低1週間前くらいから、英語のポッドキャストを聞いたり、オンライン英会話で会話の練習をしたりするのがオススメです。

私はもともと留学に向けて語学試験の勉強を毎日しているので、この点は1年以上、ほとんど毎日継続しています。

そうでない人にとっては、できるだけ時間を確保して、少しでも英語に触れる努力が必要だと思います。

ちなみに、日本人の中には英語を話すことが恥ずかしい!と思っている人が多いらしく、ジャパニーズ英語になってしまうことが多いそうです。(「ハローエブリワン!マイネームイズ〜」など)

私はかなり本格的に発音記号やリンキングの勉強をしているのですが、できるだけネイティブの発音に寄せて話そうと努力するのは、聴く人への敬意だと思っています。

なので、ここは恥ずかしさを捨て、できる限り英語っぽく話せるようにするのも大事だと思います!(難しいですが…)

とにかく楽しむ!(当日)

いよいよ当日、とっても緊張すると思います。

しっかりと発表の練習をしたら、あとは思い切り楽しむつもりで挑むのが大事です。

とは言っても、発表の直前まで「どんな質問がくるかな」「これについて突っ込まれたらどうしよう…」と不安で、他の人の発表そっちのけで準備していました(笑)

でも、いざ自分の番になって発表を始めると、「内容をちゃんと伝えたい!」という気持ちになり、ほとんど練習通りに発表することができました。

質疑応答も、完全にうまく答えることは難しかったですが、研究内容に興味を持ってくれる人がいてとても嬉しかったです。

発表の際は、ずーっと同じ声のトーンで原稿を読み上げる人もいますが、それよりもゆっくりと話しつつ、たまに聴衆の方を見ることも大事だと思います。

英語は日本語よりも、イントネーションが大事で、「He is」などの代名詞やbe動詞は短く小さく発音し、「interesting」「abig problem」など形容詞や名詞を強調して発音します。

発表の際にはこれが意識できるだけでも、「あ、伝わってるな」という感覚が掴める気がします。

発表を通して気付いたこと

以上のようにして、国際学会での発表を乗り越えたわけですが、実際に発表をして気付いたことがいくつかあります。

「英語が得意であるか」は問題ではない

国際学会で発表をするという目的に対して、改めて「英語が得意であるか」はそこまで問題ではないと気づきました。

発表の際は、発表資料と原稿を準備しますし、しっかりと練習をすれば内容を伝えることは十分可能です。

また、海外の研究者とのコミュニケーションについても、ボディランゲージやスマホでの翻訳機能を使えば、意外と大丈夫です。

海外研究者も、あなたが英語が上手かというよりも、「どんな研究をしているのか?」に興味があります。

発表さえできれば、簡単な挨拶さえできれば、つたない英語でも伝わることはたくさんあります。

どうにかしてでも英語で伝える重要性

国際学会では、通訳(英語ができる他の研究者)を連れてきている日本人の方もいました。

しかし、原稿の作成のステップでも言ったとおり、日本語をそのまま英語に翻訳すると回りくどくなりがちです。

話す内容が難しい場合はなおさらです。

研究内容を一番よく知っているのは研究者自身だと思うので、どんなにつたない英語でも、語彙でも、まずは自分で発信するように努力することが大事です。

たとえば、簡単な単語の組み合わせでも「It’s important because〜(それはとても重要です、なぜなら〜)」のような構文は、少し練習すれば言えるようになります。

日本語の場合、「えー、それについて、私の研究の中では〜のようなデータがあり…」と、自然と結論を最後に持ってくることも少なくありません。

英語で結論を先に提示する方法さえ知っておけば、あとは知っている言葉や原稿の中で使用した言葉を間違っても良いので繋ぎ合わせて話すことで、コミュニケーションが円滑になると思います。

英語での発表・コミュニケーションができることは大きなメリット

最後に、やっぱり日本人研究者にとって、英語での発表やコミュニケーションができることは大きなメリットであるということを、改めて実感しました。

私は看護学分野で研究をしていますが、「英語が苦手!」という方は多くいることも十分承知しています。

ですが、せっかく魅力的な研究疑問を持っているならば、やっぱり少しでも英語で発表をしたり、論文を書いてみようという姿勢はすごく大事だと思います。

「こうでなければならない」ということはないのですが、英語が苦手な人が多い中で、「英語に抵抗感がない」ことは大きなアドバンテージだと思います。

今後、日本では国内の学生数は減っていくと思いますし、大学でもより国際的な教育が求められるかもしれません。

その時に、英語での発表やコミュニケーションが可能であることは、研究者や教育者としての価値にも貢献するのではないでしょうか。

まとめ:迷うくらいなら挑戦しよう!

国際学会での発表を通して、英語で伝える難しさと楽しさ、海外研究者との交流など、とても貴重な経験ができました。

英語が苦手であっても、研究成果を伝えたいという気持ちがあれば、挑戦してみるのをオススメします。

ものすごく不安で緊張するかもしれませんが、やってみると見える世界が変わると思います。

私は今後、国際学会誌への論文投稿も検討しています。

そのために、研究に専念しつつ、英語の勉強を継続していきたいと思っています。

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