こんにちは、ぴーです。
私は2021年3月まで急性期の病院で働いていました。
一般病棟でしたが、毎日忙しく淡々と仕事をこなす中で、「私って患者さんに何ができているんだろう?」と思っていました。
看護師は直接患者さんと関わるので、やりがいを感じやすいと思いますが、現実はそう甘くありません・・・。
そこで、この記事では看護のやりがい、そしてやりがいを感じるための方法を私なりにまとめてみました。
「看護」って何だろう?と考えてみる
みなさん、改めて「看護」ってどのように定義しますか?
保健師助産師看護師法では、「療養生活上の世話と診療の補助」とされています。
看護師にはそれぞれの価値観があると思います。
私は、「看護とは、対象者がどのような状態であっても、できる限りよりよく生きることを援助すること」であると考えています。
「どのような状態であっても」というのは、私が重症の患者さんに興味を持っているからという理由があります。
たとえ疾患を抱えていても、障害があっても、意識が消失していても、その人にとってのより良い今を過ごせるように支えるのが看護師かな〜と思っています。
ただ、臨床で働いていると実際に自分が何かできた!という達成感は感じづらいと思います。
特に、看護師1〜2年目のころは、業務を覚えるのに精一杯で「できていないこと」に注目しがちです。
でも、そんな状態だからこそ、自分の大切にしたい「看護」って何かな?というのは時々考え直してみるといいかもしれません。
看護師のやりがいについて
小さなことでも「ありがとう」と言われること
看護師は、医療以外の、他の職種に比べると「ありがとう」と感謝をされることが多いと思います。
看護師として働いてビックリしたのは、体温や血圧を測ったり、問診をしたりしただけなのに「ありがとう」と言わることです。
これってどういうことなんだろう?と考えてみると、患者さんは看護師が接することで「自分に関心を向けてくれた」という気持ちを抱かせるのかもしれません。
看護師は、「体温や血圧を図る」という行為の中で、それだけではなく、実際に身体に触れたり、表情や動作に注目したりして、何か困っていることはないか探っています。
このように行為に含まれる意図は、意識して行なっているわけではなくとも、患者さんに伝わっているものなのではないでしょうか。
その全体的な看護師の行為に、患者さんからたくさんの「ありがとう」の言葉が出てくるのかもしれません。
これは看護師にしかできないことであり、それに対して感謝されるということは、やりがいにつながります。
自分のケアが回復につながること
自分がやったことが、成果になる時って嬉しいですよね。
看護も同じで、自分がじっくり患者さんと向き合って目標を達成できたとき、やりがいを感じます。
病院では、「プライマリー制度」といって、一人の患者さんを一人の看護師が責任をもって退院まで受け持つことが多いです。
自分の受け持っている患者さん(=私の患者さん)に対して「良いケアができた!」と感じる時、とっても嬉しいのです。
例えば、事故で片手が使えなくなってしまったけど、患者さんが「杖をついて歩けるようになりたい」と言っている時。
看護師は、患者さんと、他のスタッフ(医師や理学療法士、作業療法士など)と一緒に、工夫して目標に向かいます。
このように、自分のケアが患者さんの回復の回復につながることは、看護の醍醐味であると思います。
さまざまな人生に触れ、自分も成長できる
看護師は、地域にいる全ての人を対象に仕事をするので、本当にさまざまな人に出会います。
普通にしていたら接することのないような人もたくさんいます。
さらに、看護師は他の職種よりも患者さんに深く関わります。
その人の背景、趣味、家族、生きがいなど・・・。
そして、病気を患って、何を思っているのか。これからどうしていきたいか。
看護師は、患者さんのことを深く知って、その人が病気とともに生きていくことを手助けします。
これは患者さんの人生に触れるということで、本当に色々なことを学ばせてもらいます。
もちろん、失敗も経験しながらではありますが、看護師という職業を続けると、人間として成長できると思います。
家族が病気になった時に役に立つ
看護師は幅広い医療・介護の知識を持っているので、身内に何かあった際に役に立つことができます。
私は祖父が脳梗塞で倒れ、半身麻痺の状態で祖母のいる実家に退院しました。
その時、もちろん「家族が病気になってしまった」というショックはありました。
しかし、臨床で培った知識と技術で、祖父との接し方を模索し、祖母と一緒に介護の方法を考えることができています。
祖母には、「あなたがいて本当に心強いよ」と言ってもらえました。
お世話になった人に対して、他の人より少しでも役に立てるというのは、看護師になって良かったと思える一つの理由です。
やりがいを感じられなくなった時には
看護師はとてもやりがいのある仕事ですが、やりがいを感じられなくなってしまうこともあると思います。
そんな時、どうしたら良いのか考えてみました。
なぜ、やりがいが感じれないか考える
やりがいを感じられない時、そこには理由があるはずです。
私は臨床で時々「自分って何をしているんだろう」と考えていたことがあったので、その理由を挙げてみました。
- 仕事やシフトが忙しい
- 「できていないこと」に注目してしまっている
- やりたいことができない環境にいる
時期によって、仕事が忙しかったりシフトが厳しかったりすることってありますよね。
そんな時は身体や心が疲れてしまって、「仕事が嫌だな」と感じるかもしれません。
また、患者さんへのケアがうまくいかなかったと感じた時や、先輩に指摘をされた時。
「あの時何でできなかったんだろう」と自分の「できていないこと」に注目してしまい、自己肯定感が下がることもあります。
そして、自分の興味のあることができない環境にいるということもあるかと思います。
例えば、「認知症のケアに興味があるけど研修に行けない」「病棟の慣習で行われていることに疑問を持っているけど、自分ではどうにもできない」などです。
以上のような状況は、看護師の仕事のやりがいを感じにくくなる理由になるでしょう。
理由に対する対処をする
では、仕事のやりがいを感じにくくする理由に対処するにはどうしたらよいでしょうか?
まず、仕事やシフトが忙しく、心身が疲れている時は、自分を労ってあげるのがよいと思います。
看護師は肉体労働や感情労働といわれ、身体的にも精神的にもハードな職業です。
疲れている時にも、「患者さんのために!」と頑張りすぎると、燃え尽きてしまいます。
なので、「仕事に行っているだけで、偉いんだ。頑張ってるね。」と自分を労って、余裕ができたら少し頑張ればいいんじゃないでしょうか。
次に、自分の「できていないこと」に注目してしまう時。
私も看護師をしている時、「何でこんなこともできないんだろう」と自分を責めることがありました。
でも、きっと「できている」こともたくさんあるはずなんです。
できていないことは今後の課題にして、今できていることについてきちんと評価をしてみましょう。
私は、「看護師がやりきれなかったと感じる出来事」についてカンファレンスができる場があればいいのにな、と思っています。
そうすれば、自分の中では処理しきれない否定的な感情を、少しでも肯定的なものにすることができるのではないでしょうか。
最後に、やりたいことができない環境にいる時。
こんな時には、自分のやりたいことを理由を含めて上司に相談するか、異動や転職をするのが良いのかなと思います。
病院や病棟によって、文化のような凝り固まった考えがある場合があります。
この場合、個人の力ではどうにもならないので、思い切って環境を変えるというのも有効な選択肢なのではないでしょうか。
まとめ:もっと声に出して良い
これまで、看護師のやりがいについてお話ししてきました。
私が看護師として働いていた時を振り返って思うのは、「看護師はもっと思っていることを声にだして行動しても良いんだ」ということです。
私は大学院に進学して、働いている時より「看護って何だろう」と考える機会が多いです。
改めてじっくり考えてみると、「働いていたころに自分の考えや感情を言葉にすればよかった!」と思います。
若い時、特に新人看護師時代は、先輩の圧力に押しつぶされ、なかなか思うように動けません。
しかし、看護に正解は無いし、難しい問題にぶつかったり、思いもよらないことが起こることもあります。
そんな時、さまざまな視点からの意見が必要になるし、それが患者さんや社会のためになると思います。
そういった意味で、誰かに自分の考えや思考を伝えてみると、解決の糸口が見つかるかもしれません。
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