こんにちは、ぴーです。
私は看護師ですが、数年病院で勤務した後、大学院に進学しました。
そして、在学中は卒業後の進路についてかなり悩み、結果的に博士課程へ進学しました。
この記事では、看護大学院に興味がある、またはすでに在学中の方に向けて、卒業後の進路についてお話したいと思います。
この記事では、以下のお悩みにお答えします。
- 大学院卒業後の進路にどんな選択肢があるのか知りたい
- 博士課程に進学してみたいけどお金が心配
- 博士課程に進学する人はどんな人なのか知りたい
また、この記事では大学院=修士課程としています。
看護大学院卒業後の一般的な進路
看護師で大学院に進学する人は増えてきてはいるものの、まだ少数派かと思います。
そんな中で、大学院に進学した場合、卒業後の進路は一般的に以下の通りです。
- 病院や施設、地域に戻り看護師として働く(専門看護師、看護管理者含む)
- 看護の知識や研究を活かすことができる一般企業で働く
- 看護大学の教員(助手、助教、非常勤講師)として働く
- 大学院博士課程に進学して研究を続ける
① 病院や施設、地域に戻り看護師として働く(専門看護師、看護管理者含む)
臨床現場で働いていた場合の中には、職場をやめて進学した人、休職して進学した人、勤務を調整し働きながら進学した人など、さまざまかと思います。
あるいは、学部からそのまま大学院に進学することもあるでしょう。
どのような場合であっても、大学院を卒業すると、一番多い進路は病院や施設、地域で看護師として活躍するというものだと思います。(大学院にもよります)
大学院には論文コースと専門看護師コースがありますが、後者の場合は臨床に戻って専門性を活かした活躍をする人がより多いです。
また、病院によっては修士課程を卒業している場合は手当がついたり、クリニカルラダーを獲得したりできるので、主任や副看護師長、看護師長など看護管理者を目指す人もいます。
② 看護の知識や研究を活かすことができる一般企業で働く
近年、ヘルスケア関連の企業では看護師などの医療専門職の資格をもっている人材を募集している企業が多くあります。
例えば、以下の転職情報サイトで調べると、医療機器メーカー、医療情報を提供する企業、看護師などの転職エージェントなどが出てきます。
自分の看護師としての経験や、大学院で学んだ知識や研究が企業の求めるものとマッチしていれば、応募が可能です。
③ 看護大学の教員(助手、助教、非常勤講師)として働く
修士号を取得し、臨床経験が一定以上あれば、大学の看護学部の教員として働くことができます。
他の学問領域だと、大学のアカデミックポストに就くのは狭き門です。
しかし、他の学問領域に比べて看護系の大学は助手や助教として採用されることはそんなに難しくないようです。
理由として、1990年ごろから現在まで20倍近く看護系大学が増加した一方で、教員の数がまだ追いついていない状況があります。
博士号を取得した看護師もまだまだ少ないためか、大学によっては修士号までしか持っていない人が准教授・教授だったりします。
このような状況なので、しっかりと修士課程を修了しており、なおかつ臨床経験も3〜5年以上あれば助手や助教として採用されることは難しくないと思われます。
実際、私の周りの先輩は指導教員や知り合いの教員のツテで就職している人が多いです。
また、看護系大学では実習指導教員を探していることも多く、フリーであれば実習期間のみ勤務する「非常勤講師」として働くこともできます。
④ 大学院博士課程に進学して研究を続ける
修士課程を修了した後も研究を続けたい、博士の学位が取りたい、という場合には、博士課程に進学するという道があります。
私の感覚では、修士課程から博士課程にそのままストレートで進学をすることは少なく、一度臨床に戻ってから進学する場合が多い印象です。
看護の研究は臨床と結びついているので、臨床に戻って研究成果を還元したいと思ったり、新しい問いを探すことが必要だと思う人も多いのでしょう。
私の場合は、金銭的な理由や看護師としての未熟さから、臨床に戻ることを考えました。
しかし、やっぱり研究が楽しい!このまま続けたい!と思ったため、進学を決めました。
私が在学中に考えていた進路の選択肢
大学院卒業後の一般的な進路に加えて、私なりに具体的な進路の選択肢を考えていました。
①病院で働く、②企業で働く、③大学で教員として働く、④博士課程に進学する、という選択肢のほかに、⑤海外の大学院に進学する、⑥訪問看護師になる、という選択肢がありました。
⑤ 海外の大学院に進学する
挑戦的な選択肢ですが、海外の大学院(博士課程)に進学することも考えていました。
修士課程を過ごしていて、将来的にも英語力はもちろん、国際的な視野の必要性をとても感じたからです。
「海外の大学院なんで、ものすごいお金がかかりそう…」と思いますし、実際そうです。
しかし、ちょうど2021年から笹川保健財団による「Sasakawa看護フェロー海外留学奨学金」というものが設立されました。
「看護フェロー」に選ばれれば、海外大学院で修士課程2年間・博士課程3年間の授業料、寮費などを10万ドル(約1300万円)を上限に支給、そして毎月1000ドル(約13万円)の生活支援をしてもらえる制度です。
とっても魅力的で、修士課程終了後に病院等で勤務をしながら、準備をしようとも考えていました。
このことは指導教授にも相談していましたが、「海外の大学院で学んできて、その後どうなりたいかだよね」と言われました。
色々と考えた結果、私がやりたい研究は今の恵まれた環境で続けて、博士課程で留学をすればいいのかな、という結論に至りました。
⑥ 訪問看護師になる
意外な選択肢かもしれませんが、大学院で勉強をしていると、これからはもっともっと地域の時代になっていくと感じました。
私は超急性期病院で病棟看護師として勤務した経験しかないので、地域で生活者としての人々をケアすることに興味をもっていました。
求人を見てみると、訪問看護師も需要が高く、福利厚生も充実しているステーションが多くありました。
ライフイベント(出産・育児)を考えると、家庭と両立しながら働くことができるところも魅力でした。
働く中で新たな研究の問いが生まれればまた進学しても良いかな、と思いました。
色々な選択肢の中で博士課程への進学を決めた理由
ここまで、大学院修了後の一般的な進路と、それに加えて私にとっての進路の選択肢についてお話してきました。
結局、私は博士課程への進学を決めたわけですが、選択の際に考慮したは点は以下の4点です。
- 将来的に研究者・教育者になりたい
- 一度研究から離れた時にもう一度戻ることの大変さ
- お金は奨学金と助成金でなんとかなる(する)
- 1日でも若いうちに勉学に励むことのメリット
私は、将来的に研究者・教育者になりたいと思っています。
もし、他の選択肢として病院で働いたり、訪問看護師として働いたとしても、その後は進学を考えていました。
そのため、一度どこかで働くにしても、その経験は研究者や教育者になるための一つの手段ということになります。
そして、どういう道を歩もうが、博士課程に進学し、博士号を取ることは必須です。
一度研究から離れてしまっていつ戻るのか、ライフイベントがあった時には進学が遠のくのではないか。
そういうことを考えると、自立や実績が求められる博士号は今のうちに取っておいてしまった方がいい、と思いました。
そして、修士課程で指導をしてもらっていた教授を非常に尊敬していましたが、いつまで同じ大学にいてくれるかということは保証されていません。
同じ研究室で研究がしたい!と思うならば、教授が在籍しているうちに進学してしまった方が後悔がないと考えました。
私はフルタイムの学生だったので、金銭的には余裕のない状況でしたが、指導教授に「お金はなんとかなるよ」と言っていただきました。
確かに、奨学金や授業料免除制度、助成金などを活用すれば不安は払拭できませんがなんとかはなります。
私は今年度から博士課程に進学しましたが、奨学金返還免除申請、授業料免除申請、貸与型奨学金申請をしています。
さらに日本学術振興会の特別研究員に応募し、不採用だったら大学内のフェローシップ制度に挑戦するつもりです。
もちろん、パートタイムで仕事をして、TA(ティーチング・アシスタント)や実習指導者として働いてもいますが。
このように、お金に余裕がないからこそ、競争的研究費制度に挑戦したり、奨学金免除申請をするために実績を作ったり良い研究計画書を作成するために頑張れるのかな、とも思います。
以上のようなことを考えて、私はさまざまな選択肢から博士課程に進学することを決めました。
まとめ:知らないと選べない。後悔しない進路を選択しよう
以上、看護師が大学院を卒業した後の進路についてお話してきました。
一度仕事を辞めて大学院に来た人たちを見ていると、「卒業後のことはまだあまり考えていない」という人が多いです。
私も、進学した時に明確な進路は決めていませんでした。
しかし、遅くとも修士課程2年目の春ぐらいには、一度進路をしっかりと考えても良いのではないかと思います。
どこかで働くにしても応募時期がありますし、博士課程に進学をするなら受験や競争的資金(修士2年目の5月ごろには特別研究員DC1が応募可能)に向けて準備をすることができます。
大学院に進学をすることは素晴らしいことですが、その後どうなりたいのか?ということを考えておくと、時間を有効活用することができると思います。
どのような選択肢があるのか知らないと選択はできないので、興味のあることは色々と調べてみて、実現可能性を検討してみることが大事です。
ちなみに、博士課程に進学を検討するにあたって、以下の書籍がとても参考になります。
私が進路選択に迷っていた時に書いたnoteも参考にしていただければ幸いです。