看護大学院の受験のために、「研究計画書」が必要みたいだけど…
研究計画書って何?どうやって書けばいいの?
「大学院を受験しよう!」と考えている看護師さんの中には、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
私も、大学院受験の準備で、研究計画書を書くのが一番大変でした。
この記事では、無事大学院を合格することができた私が、研究計画書の書き方について分かりやすくまとめたいと思います!
この記事の内容
- 大学院受験に必要な研究計画書とは?
- 研究計画書の書き方
- 研究計画書を提出する前にしておいた方がよいこと
大学院に必要な研究計画書とは?
まず、研究計画書は、河合塾KALSではこのように定義されています。
研究計画書とは、「大学院入学後に行いたい研究内容と、その研究を行うための計画について、大学院・研究科側の所定の様式に従ってまとめたもの」と定義することができます。
引用元:河合塾KALS
実際、ある看護大学院の募集要項には、「希望する研究の概要について、1,000字程度でまとめてください」と指示があり、【研究テーマ】【研究内容】を書く欄が用意されていました。
大学院を受験する看護師さんの中には、看護学校で研究をしたことがない人もいると思います。
「研究計画書なんて、書いたことないよ…どうしよう…!」と感じるかもしれませんが、大学院受験に必要な研究計画書は、正直高いレベルは求められていないと思います。
なぜなら、大学院入学後には半年以上かけて研究計画書を練るので、研究テーマや内容が変わってしまうことは大いにあるからです。
大学受験に必要な研究計画書では、あくまでざっくりとした研究テーマと研究内容が伝えられればOKだと考えています。
研究計画書の書き方
研究計画書の構成は、受験する大学院にもよりますが以下のようになると思います。
- 研究テーマ
- 研究テーマの背景・自分の経験
- 研究目的
- 研究方法
- 倫理的配慮(必要時)、引用・参考文献
ステップ① 研究テーマを決める
研究テーマは、「研究の内容を表す主題」です。
自分の感じている疑問を、簡潔に表せるようなテーマを考えてみるといいと思います。
例えば、以下のような疑問をもっていたとします。
心筋梗塞を発症した患者さんは、禁煙や食生活の改善が必要だけど…看護師の指導って、本当に患者さんのためになっているだろうか…
このような疑問だと、研究対象者は「心筋梗塞の患者さん」、そして中心となる関心は「生活習慣の改善」や「退院指導」と考えることができます。
研究テーマの一例として、「心筋梗塞を発症した成人患者の生活習慣改善に対する認識のプロセス」とすることが可能です。
研究計画書を書いていく中でテーマは変わっても良いので、ざっくりと決めて次に進みましょう!
ステップ② 研究の背景・自分の経験を書く
研究テーマが決まったら、次は「その研究テーマの社会的背景や着想にいたった経緯」を書きます。
これをしっかり書けると、自分の研究の必要性や妥当性が増します。
研究の社会的背景については、厚生労働省HPのデータや、研究論文を参考にすると良いと思います。
研究テーマの着想にいたった経緯は、自分の臨床現場での経験から、「何がどのように疑問として生じたのか」を書きます。
例えば、ステップ①で例にあげた研究テーマ「心筋梗塞を発症した成人患者の生活習慣改善に対する認識のプロセス」の場合、以下のような視点で研究の社会的背景を書くことが可能です。
① 日本における心臓病の死亡数、年齢
② 心臓病の原因となる生活習慣病に関する国の政策
③ 病院で行われる心臓リハビリテーションの内容
④ 心筋梗塞を発症した患者の生活習慣に関しての最近の知見(研究論文)
①〜③は、厚生労働省のHPや、国立循環器病研究センターなどで情報収集が可能です。
④については、自分の研究テーマと似ている研究論文をいくつか読んでみると良いです。
文献データベースを使っても良いですが、Google Scholarで単語を区切って検索をしてみるのが手っ取り早いと思います。
ステップ③ 研究目的を書く
研究テーマの背景を受けて、今度は研究目的を考えます。
研究目的を考える前に、いくつかの先行研究を読んで「何が明らかになっているか、何が明らかになっていないか」を明確にしておくと、研究目的に説得性をもたせることができます。
例えば、Google scholarで「心筋梗塞を発症した患者の主観的経験」という研究論文が見つかったとします。
ステップ①で例にあげた研究テーマ「心筋梗塞を発症した成人患者の生活習慣改善に対する認識のプロセス」では、「成人患者」「生活習慣改善に対する認識のプロセス」がキーワードになりそうです。
Google scholarで見つかった論文をみると、「成人患者」に絞っていなかったり、「生活習慣改善に対する認識」については焦点を当てられていなかったりするかもしれません。
こういったことを、自分の研究のオリジナリティとして研究目的を書いていくとよいでしょう。
この研究テーマの場合、「心筋梗塞を発症した患者の主観的経験については、○○ということが明らかになっている。しかし、この研究の対象者は△△であり、成人患者については十分に明らかになっていない。そして○○のような認識が、どのようなプロセスをたどって変化していくかということまでは探求されていない。したがって、本研究の目的は〜を明らかにすることとする。」と書くことが可能です。
ステップ④ 研究方法を書く
研究方法は、研究目的によって色々な選択肢があります。
まずは、「量的研究か質的研究か」を決めて、その中でどんな方法での研究が可能かを考えると良いと思います。
「研究方法なんて、想像もつかない…!」という方は、看護研究の方法論が書かれた書籍を購入して読んでみてもいいかもしれません。
私は質的研究で研究計画書を提出しましたが、その際に参考にした書籍があります。
この書籍は、「質的研究とは何か?」ということから、様々な研究方法について系統的に書かれており、大学院でも購入を薦められることも多く、おすすめです。
書籍を参考にしてみて、「心筋梗塞を発症した成人患者の生活習慣改善に対する認識のプロセス」というテーマでは、「質的研究の中のグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)がいいかも」と想像することが可能です。
ステップ⑤ 倫理的配慮・引用参考文献を書く
研究計画書を書く際に、倫理的配慮はとても重要です。
研究計画書全体で1,000文字という制限の中に収まる程度に、簡潔に書いておくと良いと思います。
例えば、「研究への参加は対象者の自由意志とし、とりやめができることを説明する」「インタビューデータから得た逐語録は匿名化し個人が特定できないように配慮する」などです。
また、研究計画書の中で引用したHPや論文の出典を最後に列挙しておくのも忘れないようにしましょう。
研究計画書を提出する前にしておいた方がよいこと
①〜⑤のステップで研究計画書が完成したら、そのまま提出するのではなく、誰かに読んでもらうことが大切です。
職場の同僚や先輩、大学院生の知り合い、看護意外の友人など、色々な視点から読んでもらうと意外な発見があります。
私は、職場の同期、看護大学時代の友人、大学院生の先輩、研究室の教授など、合計6~7人に読んでもらい、感想や助言をもらいました。
誤字や脱字がなく、誰が読んでもわかりやすい文章にすると、受験の際に自分の研究について知らない教員にも伝わりやすいです。
私はPDFをLINEやメールで送り、「わかりにくいところとかあったら教えて欲しい」ことを伝えました。
以上、大学院受験に必要な研究計画書の書き方について、ご紹介しました。
受験の段階の研究計画書は「絶対にこうしなければいけない」ということはありませんが、「研究テーマを決めて目的を明確にする」という作業はとても重要です。
十分に自分の疑問に向き合い、研究の社会的背景や先行研究の検討を通して、充実した研究計画書を作成してみてくださいね♪
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